ダイエット記・完 「疲れにくさ」という資産
減量生活を振り返るシリーズの最後に、改めて「筋肉」というものについて、今の正直な実感を記しておこうと思います。
ダイエットの世界では、「筋肉をつければ基礎代謝が上がり、寝ていても痩せる体になる」という説がまことしやかに語られます。 私も当初はそれを期待し、一種の魔法の暖炉を体内に作るつもりでプロテインを飲んでいました。 しかし、ここまでやってきて思うのは、そのイメージは少々誇張されているのではないか、ということです。
実際、筋肉が静止状態で消費するカロリーは、それほど劇的なものではありません。 苦労して維持した筋肉が、寝ている間に脂肪をガンガン燃やしてくれるわけではない。 では、なぜトレーナーたちは口を揃えて「筋肉を残せ」と言うのか。 そして、なぜ私も維持期において、なおタンパク質にこだわり続けるのか。
その答えは、代謝という見えない数字ではなく、もっと生活に密着した「動きやすさ」にある気がしています。
「腰が軽い」の正体
最近、NEAT(非運動性熱産生)という言葉をよく耳にします。 スポーツなどの特別な運動ではなく、家事や通勤、買い物といった「日常のちょこまかした動き」で消費されるカロリーのことです。
筋肉があることの本当の恩恵は、ここにあるのではないでしょうか。 筋肉が十分に維持されていると、体を動かすコストが下がります。 椅子から立ち上がる、階段を登る、落ちたものを拾う。 そうした些細な動作一つひとつにおいて、「よっこいしょ」という気合がいらなくなる。 疲れにくいから、一つの用事が終わっても座り込んで放心する必要がなく、そのまま次の用事に取り掛かれる。
「あえて運動をしている」という意識もないまま、結果として活動量が増え、カロリーが消費されていく。 私が目指したかったのは、勝手に燃える暖炉ではなく、この「腰の軽さ」だったのだと思います。
実感なき成功
では、実際に私が「筋肉が維持された!」という強烈な実感を持っているかといえば、正直なところよく分かりません。 多少身軽にはなったけれど以前より力が強くなったという自覚も薄いのが本音です。
ただ、一つだけ確かな事実があります。 それは、かなり思い切ったアンダーカロリー(摂取制限)を行ったにも関わらず、ひどい立ちくらみや、頬がこけるような「やつれ」がなかったということです。
それなりの減量幅を達成しながらも、コンディションを崩さず、貧血のようなふらつきも感じずにゴールテープを切れたのは、やはり意識的に摂り続けたタンパク質のおかげだったのでしょう。
「筋肉がついた」というポジティブな体感はありません。 しかし、「筋肉が落ちてボロボロになる」というネガティブな現象を回避できた。 この「何も起きなかったこと」こそが、タンパク質摂取の最大の成果であり、静かな勝利だったのかもしれません。
これからの食事
減量は終わりましたが、私の食事における「タンパク質を摂ることを気をつける」は習慣にしていこうと思います。日々の生活を「疲れ」に邪魔されないためです。
疲れの原因は様々です。睡眠不足の日もあれば、精神的なストレスの日もあるでしょう。 ですが、少なくとも「筋力不足で体が重い」という物理的な疲れだけは、食事で防ぐことができる。
「体を、ストレスなく動かし続ける」 そのためのメンテナンスコストとして、これからも卵を割り、納豆を混ぜ、時にはプロテインに頼りながら、この体を丁寧に使っていこうと思います。
(了)
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