ここで多くの人がやってしまうのが、「もっと詳しく」ともう一度聞き直すことだ。だが、これでは同じズレた方向のまま、答えが長くなるだけのことが多い。
AIは一度「たぶんこういう話だろう」と決めると、その後の説明を全部そこに乗せて組み立てる。だから、ズレに気づいたら、答え直させるのではなく、ズレた場所だけを一言で指摘して引き戻す方が早い。
実例:動画が伸びない理由を聞いてみる
たとえば、こう聞いたとする。
動画の再生数が伸びない。なぜだろう。
ありがちな返事はこうなる。
サムネイルの視認性を上げる、タイトルにもっと数字や感嘆符を入れる、投稿時間を工夫する、といった改善が考えられます。
一見もっともらしいが、これは「クリックされていない」という前提で書かれた答えだ。実際は「クリックはされているのに、途中で離脱されている」という別の問題かもしれない。
ここでズレに気づいたら、こう一言はさむ。
クリック率の話ではなく、最後まで見てもらえない理由について聞いています。
すると返事はこう変わる。
なるほど、それでしたら——冒頭で結論やオチが早めに見えてしまっている、話の展開が単調で緩急がない、といった離脱の要因が考えられます。
同じ質問、同じAIでも、ズレた場所を一言で指摘するだけで答えの中身がまったく変わる。
効くのは「もっと詳しく」ではなく「ここが違う」
長い指示文をあらかじめ用意しておく必要はない。ズレに気づいた時点で、その場でポンと言える短い一言で十分。実際に効くのはこういう言い方。
- 「そこじゃなくて、◯◯について聞いています」
- 「原因ではなく、対処法を聞いています」(逆もまた然り)
- 「一般論じゃなくて、私のケースに当てはまる部分だけ」
- 「賛成してほしいわけじゃなくて、弱いところを教えて」
- 「その前提、本当に合ってる?」
どれも一行で済む。「もっと詳しく」「違います」とだけ返すよりも、何が違うのかを具体的に一言添えたほうが、次の答えは的確になる。
調べものをさせているときも同じ
検索できるAIに調べさせているときも、見当違いの資料を集めてくることがある。そんなときも「もう一度調べて」ではなく、何がズレていたかを言う。
その情報は一般的な傾向の話ですよね。私が知りたいのは、直近の実例です。
条件を絞ってから、続けて調べ直させるとよい。
こういうときは、そのまま聞いていい
すべての答えに軌道修正が必要なわけではない。次のような質問への答えは、たいていそのまま受け取って問題ない。
- この言葉の意味は?
- カレーの作り方を教えて
- この文章を短くして
- 今日は何曜日?
- この計算をして
軌道修正が要るのは、答えの中身より「何を聞かれていると思われたか」がずれやすい質問——原因と対処法が混ざりやすい話、一般論と個別の事情が分かれる話、そんなときだ。
討論に勝つ必要はない
ちなみに、ズレた答えを見て「いや、それは違う」と論破する必要はない。AIは負けを認めても悔しがらないし、正直こちらも疲れるだけだ(討論はもっと熱くなってからでいい)。
「もっと詳しく調べて」と発破をかけるのも、実はあまり効かない。AIは真面目なので指示通り詳しくはなるが、詳しくなった分だけ、間違った方向に詳しくなるだけのことがある。同じ的外れな答えが、厚みを増して返ってくるようなものだ。
正しさを競う必要も、詳しさを求める必要もない。渡すべきは「違う」「なんか違和感がある」、それだけで十分だ。あとはAIが勝手に軌道修正してくれる。
まとめ
AIの答えがズレたと感じたら、言い負かそうとせず、「もっと詳しく」でもなく、どこがズレたのかを一言で言う。それだけでいい。
- 論点がずれていたら→「そこじゃなくて、◯◯について聞いている」
- 前提が違っていたら→「その前提、合ってる?」
- 一般論に流れていたら→「私のケースに当てはまる部分だけ」
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